第4回 第2部 「ホーディングとアニミズム」

なやみ ごくよう

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第4回 第2部 「ホーディングとアニミズム」

2022/08/24

第4回 第1部「偶像崇拝とアニミズム」では現代における様々な偶像崇拝とアニミズムとの関係を見てきた。第2部では本題となるアニミズムとホーディングの関係をまとめていきたい。


ヴァレリーが生きた時代でも羞恥を感じさせる偶像は多くあったといわれている。だからこそ彼は敏感にならざるを得なかった。それから約一世紀経ち、羞恥を感じさせる偶像はより増えた。具体的な例を挙げるとキリがないため、一部のみ紹介させてもらった。


では、アニミズムとホーディングはどのように繋がっていくのか。

関西大学の池内教授は非常に示唆的な論文を執筆されている。ホーダーがモノを捨てられない理由が、「モノをあたかも人のようにみなす『人格化』傾向が強いことに一因があるという(Warren
& Ostrom(1988)の)
主張に基づき、モノの人格化をアニミズム的思考の一側面として捉え、アニミズム的思考とホーディングとの関連性について検討し」た論文を紹介する。

ここでいうホーディングは、あくまで日常レベルで生じる「何らかの主観的な意味を付与しているために、モノを溜め込み、処分できない性向」として規定している。

人がモノを溜め込む理由にはいくつかあるとされる。「思い出や感情が沸き起こり、捨てることができない」感情的溜め込み、「いつか使う時がくるかもしれないという思いから捨てることができない」道具的溜め込み、「モノそのものに芸術性を感じて捨てることができない」美的価値ゆえの溜め込みがある。

強迫性ホーディングとはより病的なものだが、「人は少なからずモノを溜め込む傾向がある」。

Pack ratは巣をつくるために自然界、人間界問わず様々なモノを拝借するが、人間は何を購入する場合、身銭を切る必要がある。そこまでして購入したものを思い切って処分するには当然ながら抵抗を感じるだろう。これは「現状を変えることで生じる不利益は利益よりも大きく見積もる『現状維持バイアス』」と「自分が所有しているモノに高い価値を感じ、手放したくないと感じる現象である『保有効果』」によるものとされる。こうして処分が回避されモノが溜まっていく。

「また、ホーディングの生起について、モノに対する過剰な意味づけや強烈な愛情といった認知や信念の歪みからも説明がなされている」。「移行対象」や「安全信号」、「拡張自己」などが挙げられる。

ここで池内教授の別の論文から「拡張自己」について詳しく紹介する。



情緒的価値、自己提示的価値の両方とも、モノ本来の機能とは無関係であり 、いわゆる「付加価値」といわれるものである。

すなわち大切なモノが拡張自己と見なされるか否かには、そのモノが「付加価値」をどの程度持ち得て いるかが一つの重要な要因になるといえるであろう。では、なぜ付加価値の存在が、
そのモノを自己の一部とみなすことに関係してくるのであろうか。Baudril-lard(1970)
は、人は、モノ自体、すなわちモノの使用を消費するのではなく、モノに備わっている「記号」を消費すると主張している。記号とは、実用性とは関係ない特異性のことであり、上述した付加価値がこれに当たると考えられる。

また消費者行動の研究者であるHolbrook & O'shaughnessy (1988) は、

人は、記号体系によって自己が社会的存在であることを意識し、自己のアイデンティティを理解すると考えている。したがって彼らの主張に基づくと、モノが拡張自己として捉えられる理由の一つに、モノに付与された付加価値が、自己の「記号」として働くという点を挙げることができよう。つまり所有物が付加価値を持っているからこそ、自分自身のパーソナリティを他者に知らしめたり、自己アイデンテイティを確認したり、情緒的な結び付きを持つことができ、結果的にそのモノが拡張された自己になると考えられる。(※1)



実際にデータを照らし合わせると、「ホーディング傾向にはアニミズム尺度のなかでも、特に『所有者の分身化』と『所有物の擬人化』が強く関連している」ことが分かる。「“モノを分身化、擬人化する”とは、頭の中でモノに生命を吹き込むことを意味する」。これがアニミズムである。結果として池内教授の仮説はWarren & Ostrom の主張と一致する。

このようにホーディングとアニミズムには強い結びつきがある。


「頭の中でモノに生命を吹き込むこと」が拡張され、その欲動を形にすることが偶像崇拝である。本来何かのための道具でしかないモノを通じて顕示欲が強まっていく拡張自己や偶像に生気を吸われ最終的に支配される偶像崇拝は、審美性は高まるかもしれないが実存感覚を駆逐していく。結果として強烈なエゴだけが残る。そうしたエゴはとどまることを知らず、それを中心に近くのモノから地球の果てまで人(偶像)の形を保ったまま意識と感覚を拡げていく。それは端から実存感覚のない影が伸びているだけである。


土方巽や大野一雄の暗黒舞踏には「人間もまたモノである」という思想が根底にある(※2)。

もはや本来的に復権しえないアニミズムの錯誤を許容した女性参政権運動や黒人民権運動に対するアンチテーゼだった。ただこれは、黒人や女性はモノとしてこき使われ続けるべきだ、という意味合いではない。

その思想には少なくとも2つの含意が見て取れる。

ひとつは、文字通りの意味で、「人間がどう足掻こうと、所詮は動物であり、猿に毛が三本生えた程度の存在なのである」。立ち返りを強く要求した言葉であり、夏目漱石の「則天去私」である。

もうひとつは、モノ化(偶像化)
に対するモノ化での抵抗は悪手でしかない、という意味を感じる。土方巽や大野一雄は偶像破壊者だった。何が「マシな偶像」であるかを理解している人間だった。しかし人々は彼らの思想を選べなかったようである。


Pack ratというホーディングをする人々への呼称は暗黒舞踏の思想を連想させる。「ネズミ呼ばわりとは失礼な!」とあるようでない人権意識という空虚なものを盾に憤慨するよりも「確かにモリネズミに似ているね」という照れ隠しと自覚と他の生命の行動様式への理解のあるユーモアな語り口の方が実りがあり、潔く前を向くことができる。


日本においてホーダーへの支援は聞いたことがない。家庭の問題はよりプライベートなものになり認知されずらくなった。しかしゴミ屋敷で孤独死される方は多い。米国での支援の方法は着実に積み重ねられている。少なくとも30年前にひとつの方法が出ている。


「毎週、パックラットサポートグループの2時間あるミーティングが終わると、メンバーは自分のサクセスストーリーを共有します。成功は小さな成功の積み重ねの上にある。」

「アナハイムの主婦は『一日一日を大切に』と言った。『5、6年はかかることを覚悟しなければならない』と。」(※3)

同じ境遇、環境の仲間とともに少しずつ、しかし確実に一歩一歩進んでいくことは確実な方法のひとつでもある。




※1 池内 裕美, 藤原 武弘, 土肥 伊都子(2000) 「拡張自己の非自発的喪失 : 大震災による大切な所有物の喪失調査結果より」『社会心理学研究』
16巻1号 p.36-37


※2 藤田直哉 大橋可也 (インタビュー・テキスト by 島貫泰介、編集:山元翔一)

『新世紀ゾンビ論』の著者・藤田直哉×大橋可也が誘う舞踏の世界

2017年9月7日

https://www.cinra.net/article/interview-201709-ohashifujita

参照日 2022-8-22


※3 NANCY WRIDE “Pack Rats Unite : Compulsive Savers Learn to Let Go, One
Day at a Time” 、Los Angeles Times 、JAN. 18, 1990、

https://www.latimes.com/archives/la-xpm-1990-01-18-vw-474-story.html

参照日2022-07-20




参考文献


池内 裕美(2014) 人はなぜモノを溜め込むのか:ホーディング傾向尺度の作成とアニミズムとの関連性の検討 『社会心理学研究』30巻 2号
p.86-98

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