物語ること3

あの民間療法は上位の権限に依拠して納得“させる行為だ。

置き換えたもの(オルタネート)が、支配的(ドミナント)でないと、誰が省みることが出来るのだろう？

利益と問題の外在化が核心にあって、それに取ってつけたような傾聴や聞こえのいい“話し合い”合戦が繰り広げられたところで問題の本質は変化していないのではないか？

感動ポルノ以外になんというのだろうか？

 

つまり社会はこう言いたいのだ。

 

問題を抱える人間は病んでいると。

 

医者のように判断を下し距離を保ちつつ、支配したい搾取したいという欲動を上手く隠すために語りや共感を利用している。

暇を持て余した人々の情熱的なアプローチすらも彼らにとっては都合のいい隠れ蓑になる。

インテリ系の人々は自分たちが上手い具合にオルタナティブ・ストーリーを組み込めたと確信している。

しかし彼らの行為もまたオルタナティブにすぎない。(ここで土方巽のあの言葉が出てくる。)

物語の力が失われ本に空いた穴を埋めなければならないのは事実だが、彼らはそれそのものを再生させるためではなく、その内に広がるものを人々の目に触れさせないために穴埋めをしている。

テクスチャを復元させようとしているのではない。穴を埋める口実さえあればそれは真っ白なパテでも文脈のない新聞の切り抜きでも権力者の常套手段である黒塗りでも何でも良い。

自分たちの行動理由や動機づけを理解しようとしないものが、自分たちの考え出した民衆が実際の人々と同じであると疑わず、テクストを塗り隠し、いそいそと他人が敷いたレールにほんの少し手を加えて自分たちのものだと宣言する。

そう…
結局彼らがナラティブナラティブと連呼しているのはそれを自分たちの功績にしたいだけだ。これは社会において功績がなければ、人々は耳すら貸さないことを意味している…。

当たり前のことすぎて言葉にするのも嫌だが、秩序というのは支配である。そして社会はより優れた秩序を求めている。何度でもいう、物語の内にあるものが広がって困るのは利益を追求する社会の都合である。

 

 

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