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第3回 ヴァレリーの偶像とホーディング

2022/08/03

広島遺品整理専門エピローグシオンスタッフです。

 

 

偶像本来の意味合いはキリストのイコンやマリア像、大仏や仏壇などの像のみとどまらずあらゆるモノに言及できる。個人的な経験に依拠してモノとの関係を築いた時、それは偶像化され得る。それが愛着であろうが、誰か偶像化された人物を呼び起こそうが、まとめて言えば偶像になる。ホーダーは時に、偶像化されたモノやヒトとの関係を結びつけるためにモノをためこむと言われる(※1)。

偶像への思いは自尊心や物質主義と密接に関わっていることもあり一神教から忌諱されてきた。そうした思いは前時代的であり、知性の欠片もない野蛮な行為だと否定してきた。しかしヴァレリーが考えるように、人間は「生きていく限り、何らかの〈偶像〉を必要とするもの」(※2)である。どのように取り繕っても私たち人間は偶像から逃れることはできない。だからこそヴァレリーは偶像を「真面目に」取り合ったのだ。

Packratたちがためこむモノは他者から見てたいてい無意味である。だが彼らは捨てることができない。彼らはためこんだモノには価値があると信じている。(一応補足するが、捨てる方法を知らない、捨てる機会を見逃した、精神的な問題によって行動できない、と他の理由も考えられるため一概には言えない。ホーディングの具体的な一側面について言及しているだけであることに留意されたい。)ヴァレリーはこの状態を「愚かしさ」と形容する。「愚かしさとは、正邪や善悪の軸により断罪されるものではなく、人間の持つ実存的な不格好さを正視しかねる心情に映りこんでくるものである」(※3)。私たちの先祖が単なる石を祭ったり、土くれでできた人形を崇めたりするのが「愚かな」ことである。「対象と対象によせる主体の思いの過剰さというアンバランス」(※3)こそが偶像であり、ホーダーの基本原理であるのだ。偶像への思いは「愚かしい」ことであり、「羞恥」(※3)であり、それゆえに興味深い。

偶像の問題はホーディングにとどまらない。アイドル、ゲーム、アニメだけでなく政治思想やキャンペーン、はたまた民主主義にもその影を落としている(偶像の問題は現代や近代に始まったものではないが、社会的に問題視されたのはたった1、2世紀前のことである。)2000年に「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない」(※4)と中学生に言われ、大人たちは二次元の偶像が織り成す感動物語に涙していた。2005年に東大社研が希望について「真面目に」取り合っている傍ら(※5)、地下ではのちに国民的アイドルと言われるAKB48が踊っていた。大人たちやアイドルにとっては「真面目」だったに違いない。しかしだからこそ「できるだけマシな〈偶像〉を選ばなければならない」(※2)のである。なぜなら「不格好な偶像ほど人が生気を吹き込もうとする思いが強くなり、その結果として偶像への崇拝の念も高まるのに対し、偶像に伝える生命力の衰弱に相即して偶像は美しくなり、美しくなった偶像は人間の能動的想像力を搔き立てる力を喪失し人間のまさざしを支配する」(※6)からである。間主観性の陰でともに育っていく優性思想が芽吹く瞬間がある。私たちが心なしに育てた優性思想に今度は私たちが支配される。相手に求めたものが次々と私たちに返ってくる。ホーダーがモノをためこみ、ためこんだモノによって苦しむことと同じ構造を持っている。

私たち人間が生きていく上でモノは必須だが、モノが能動的に私たちを助けてくれるわけではない。ヴァレリーはカイエで「道具は意識から消えていく傾向にあるが、意識は事故があってはじめて目覚める」(※7)と言った。私たちもホーダーも同じく自覚しなければならない。事故を事故だと認識して、意識を目覚めさせなければならない。

 

 

 

 

※1 Laura White , "PACK RATS' HANG-ON HABIT", The Washington Post, February

19, 1988

https://www.washingtonpost.com/archive/lifestyle/1988/02/19/pack-rats-hang-on-habit/a02c598c-117f-4dd1-9108-b9caf169907a/

参照日 2022-8-2

 

※2 安永愛 (2012)「ポール・ヴァレリーと〈偶像〉の問題」 『人文論集』 63巻1号 静岡大学人文社会科学部 p.25

 

※3 同上p.28

 

※4 村上龍(2002) 「希望の国のエクソダス」 文藝春秋 p.314

 

※5 東京大学社会科学研究所 希望学プロジェクト

https://project.iss.u-tokyo.ac.jp/hope-archive/hopology/hopology_09.html

参照日 2022-8-2

 

※6 安永愛 (2012)「ポール・ヴァレリーと〈偶像〉の問題」 『人文論集』 63巻1号 静岡大学人文社会科学部 p.26

 

※7 松岡正剛 「1458夜 『大津波と原発』内田樹・中沢新一・平川克美」 松岡正剛の千夜千冊、2012年3月5日

https://1000ya.isis.ne.jp/1458.html

参照日 2022-8-2

 

 

 

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