物語ること

なやみ ごくよう

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物語ること

2022/09/30

物語の力を復権させようとする動きがある。

他方で、語りを重視しているにもかかわらず物語を不要とする動きがある。

このふたつが今はもう同じ土俵に立ち入ることができない、そんな状況に対して私は正直どのような気持ちを抱くべきかいまだに分からずにいる。

このような問題に関わり「私ごときが心配することではない」と思うのは自らに一切の責任が発生しない時だけだが、本当にそんな状況があるのだろうか。私たちはそれほどまでに猶予があり、手厚く相互補助できるような存在だったのだろうか。

例えば、誰かがある仕事をしていて自分の業務の範疇を超えた不安に駆られるとする。

その不安を上司の前で口に出すと「お前の考えることではない。自分の仕事に専念しろ」と言われる。これを好意的に捉えるならば「お前がいくら考えたところで事態は動かないから心配するだけ無駄だ」、「お前の認識や実力ではこの問題(責任)は大きすぎる。ひとつずつ出来ることをこなしていけ」などいう慰めに近い意味を持つのかもしれない。そもそもそんな不安を逐一汲み取るとキリがなく精神的にも参ってしまう。仕事どころではないのは確かであり、上司にも仕事がある。しかしどんなに取り繕うが、その言葉の中核には無意味だという他者によって決めつけられた諦観がある。

「私ごときが心配することではない」という思いも、他者によって決めつけられたものである。

実際に目の前でそう応える人間がいるかどうかの違いでしかない。どちらも他者に諦観を委ねており、それによりひとまずは自身の安全が確保されたと思うことができる。この危険性は自分自身が他者の評価を利用していると錯覚させる効果を持つことだ。自分を客観視した評価だと思ってしまうことだ。他者に言われる前に自分で評価したのではなく、他人の評価のために自分を売ったに過ぎない。他者の安い見積に合わ”された”に過ぎない。これは予言の自己成就のいちプロセスだと考えることもできる。

そのような意味では、自らを語ることは他者の予言や見積から外れ、自らの生を取り戻すことができる。しかし語りとは、自己意識にモノを言わせキャラクター化することでも無駄をそぎ落とし同一化することでもない。この現代においていくら神秘の復権運動が起ころうとも理解されえない祈りこそ語りの本質である。

「宗教も宗派も超え祈る 新型コロナ終息願い 「最後の一人まで救い尽くす」」という記事が2
年前に出た。そのコメント欄に「神頼みしたことろで無意味だ」というような言葉が多く寄せられていたのを今でも覚えている。祈ったところでコロナが終息するわけでもなければコロナによって亡くなられる方が減るわけでもない。祈りそれだけで事象を改変できるのなら科学も物語も自然も、何なら彼らが崇める神すらも必要ないだろう。世の中そんな簡単にどうにかなるものではないからこそ祈るのである。それは単なる願いではない。他者を再生させることで自らも再生する儀式だ。「そしておそらくはあらゆる時代における物語の語りは、他者の生に働きかけることによって、自らの生を変えていこうとする試みなのである」
(※1)。

語りを重視しているにもかかわらず物語を不要とする動きとは、語りを知らないことに所以する。それは「神頼みしたところで無意味だ」という他者の諦観にある。そうした動きを信奉する人々は与えられた諦観すらも物語だと思っている。それがそう動く者たちから発られたものだと思っている。「追って通知があるまでのアイデンティティ」の集合ではいつまで経っても自己意識を超えることはない。少し前に話した、跳べないアイドルと同じである。



※1 Arthur,W.F.(1995) The Wounded Storyteller: Body, Illness, and Ethics.
University of Chicago Press.(アーサー W.F. 鈴木智之(訳) (2002). 傷ついた物語の語り手 身体・病い・倫理
ゆみる出版)

 

 

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